目黒の共有不動産を分筆(分割)して売却した事例
長女・次女・長男様の3名で相続し、共有名義で持分登記済の土地建物には、長男家族が住んでおり、その一部の部屋には長女の息子さん夫婦が子供と住んでおりました。長女は経済的に困窮しており、長男に自己の持分権を買って欲しいと要求していました。次女は経済的に余裕があり積極的な要求はなかったものです。
長男は、現状を変えずに、金銭の支払いもしないで住み続けたかったのですが、長女から、「共有物の分割訴訟(裁判)」を起こされれば、現状のままで住み続けられない事を伝え、 ① 金銭を提供して解決するか、② 不動産を売却して売却金を分配するか、もしくは ③ 裁判所の調停から始めて、和解できなければ本裁判等で決着を付けることになる旨をご説明して、今後に向けていろいろのアドバイスをしました。
土地は、目黒区内の駅に近い高級住宅地内でした。土地面積は約70坪以上の西北の角地で、北側道路面の辺長は大きく、公道幅員も5mありました。私は既存建物を解体して、土地を2区画に分筆し、その角地部分を広めの面積にして新築住宅を建てて、今後の住まいにすることを提案しました。残りの土地は売却して、売却金から姉様2人に解決金を支払い、家屋の解体費用、諸々の経費を捻出する方法を提案しました。土地は道路に接する辺長が大きかったために、2分割するのが可能な土地であり、その2分割計画案と住宅の建築平面図などを作成して完成住宅のイメージを高めて頂きながら、具体的な計画を立てました。
但し、土地の南側には老朽化し、雑然とした居宅兼作業所があり、近隣の恵まれた環境からしますと、目の前の作業所の雰囲気だけが目立ち大きなマイナス点でした。後日に売却する土地は、1宅地で売却するのは中途半端に大きいのですが、2宅地に分割可能な地形で手頃な大きさの土地面積になり、建売住宅用地として売却できました。この土地を1宅地で売却するには、近隣との環境比較でマイナス面が大きく、価格を大幅に下げないと難しかったと思います。
共有者の姉様お二人には解決金を、居住していた長女の息子夫婦にも納得できる金員を支払い、円満に問題の解決ができました。
ご依頼者は賢明なご決断をしたと思います。共有不動産のすべての問題を解決して新居に入居しましたが、万一、高齢になってからの解決であれば、冷静な判断ができたものか、また、新築住宅に住める期間も短くなり、良いことはなかったと思っています。今では、長年の悩みから解放され、暖かく快適なお住まいで穏やかにお過ごしになっておられます。
【一言】相続で取得した共有不動産は、共有する相手方が「共有物の分割訴訟」を行えば、裁判所は解決に向けて事務的に事を進めます。共有者間での協議で解決策を見いだすか、裁判所に付して解決するかの判断となりますが、可能な限り、話合いでの解決にしたいものです。 世の中には、裁判所での決着がつかずに、最悪の場合は不動産競売になるケースもありますが、当事者間には売却金のメリットはなく、競売での落札者(買受人)が安い買物をできるだけなのです。 この土地は、周辺環境が良かったもので、対象地の南側の老朽化した作業所の雰囲気が余計に目立ちました。たまたま、売却地が建売現場用地に適した手頃な面積になったために相場で売却ができましたが、万一、中途半端に大きい面積であれば需要は少なく、かなり価格を下げなければ売るのは難しかったものと思います。 土地の価格は個別性が大きく、環境などでマイナス面が大きい土地の場合は、周辺相場の平均価格よりもかなり下げないと売れない場合があるのです。 |
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