借地権・底地の売買(売却)について

借地権・底地の売却方法と借地権価格について

旧法の借地権や底地を売買(売却)するには、①借地権者と地主間で借地権・底地の売買(交換等)をするか、②借地権者と地主が共同して、第3者に借地権と底地の同時一括売却をするか、③各々が、借地権・底地の買取り専門業者などに売却するかなどになります。 

③の、買取り専門業者への売却の場合では、買取り業者は収益用不動産として運用するか、もしくは借地・底地という制約のある土地を買受けて、時間と労力をかけて、借地権等が付着していない完全な所有権の土地に再生してから、改めて転売や、建て替えをして利益につなげることを目的とします。買取り業者は、面倒なく素早く買受けてくださることが大きなメリットですが、転売や建替えするまでの労力や、諸々のリスク、経費・利益などを考慮しますので、買取り価格はそれに見合う金額になるでしょう。

借地権者と地主は相対し合う権利者であり、売却などをする場合では、双方の主張に付き、十分な協議が必要となります。以下、売買・売却のポイントを解説いたします。 

借地権者と地主間の売買・交換、第3者への借地権・底地の売却とは

借地権を第3者に売却する場合や、借地を地主様に買取りを願う場合では、まずは地主様に借地権売却の申出から始めます(以後、敬称は省略させて頂きます)。
借地は、借地人と地主の立場が相対するものであり、双方の立場からみた借地・底地の売買等に向けての考え方を実務者として記してみます。

  1. 借地権(建物)を地主に買って頂く。但し、「買う、買わない」は地主の自由であり、売買に進む場合の価格は当事者間で決めることになります。
  2. 借地人が借地権を第3者に売却する。但し地主の合意が必要です。この場合は、地主に名義変更料を支払うことになります。借地人と地主との過去からの交流・経緯しだいでは地主が拒否する事もあり得ます。万一 地主が売却を拒否すれば、裁判所に付して売却に向けて進める方法もあります(借地非訟手続き)。
  3. 地主の底地(土地の所有権)を借地人が買受ける。但し、地主が底地を「売却する、売却しない」は自由なことであり、売買に進む場合の価格は当事者間で自由に決めることになります。
  4. 地主が底地を第3者に売却する。この場合、借地人の同意は必要なく自由に売却できます。ある日 突然に地主が替わって、借地人が無理な請求をされて困ったというケースは世間によくある事です。底地買取りの不動産業者が転売利益を目的に買うことが多く、業者が買取れば、借地人に対して「底地の買取り請求」「借地権の売却請求」もしくは、「借地権と底地の第3者への共同一括売却」を迫ってくるでしょう。
  5. 借地人と地主が共同して、借地権と底地を同時一括にて第3者に売却する。買主側からしますと、所有権の一括地として買えるために、売買価格は仲介市場の所有権相場で取引ができるのです。借地・底地を売却する場合ではとても有益な方法となります。
  6. 借地のすべてを地主に返還して、その替わりに土地は小さくなりますが所有 権の土地として一部を譲り受ける。一例ですが、60坪の借地権と仮定した場合、借地人が36坪を所有権の土地として譲り受け、その代りに24坪を借地権が付着していない土地として地主に返還するのです。この方法で、双方が借地権の付着していない土地の所有権者になるのです。いわゆる「土地の交換」です。

この場合、土地の分割面積や、土地の区割り(分筆)形状などは、借地の地形や道路に接する土地の状況などを勘案の上で判断をします。角地の場合で2区画に分割できる土地の場合では、角地と一面だけが道路に接する土地では価値(価格)が異なりますので、どちらを取得するか、面積の配分などは細かな協議・調整を要します。税務にも注意です。尚、土地の分割をする場合、行政指導による最低敷地面積以下ですと建築確認(建築の許可のようなもの)が受理されないことがありますので注意が必要です。

借地権・底地の売買や土地の分割等では上記の方法などが基本ですが、借地人と地主の家族構成や経済状況、年齢等によって交渉結果は様々です。例えばですが、借地問題の解消に関して、長年のあいだ非協力的だった権利者が、生活環境の変化で突然に借地・底地の売買等に積極的になるという事もあるのです。

借地権売買の市場動向について

住宅地内の旧法借地権の土地売買は人気のある地域を除いては減少しており、借地の需要は乏しい状況です。借地権付の住宅については、金融機関の住宅ローン審査・評価も厳しくなっており、一般住宅購入者が借地を求めることは少ないものです

そのために借地権を売却する場合では、① 地主に買っていただくか ② 借地権と地主の底地(所有権)を共同して第3者に同時一括で売却する方法が理想的です。買主からすれば所有権の一括地として買えるために、所有権の相場価格で売買できるのです。但し、地主の協力が必要です。

地主がお寺や神社の場合では、借地権の売却に関して非常識な主張をするケースは少ないですが、地主側の借地権の買戻しや底地の売却は、宗教組織としての考え方や檀家さんとの問題などもあり売買の成立は難しいケースが多いものです。

借地人と地主との当事者間売買時の土地価格評価や、借地を第3者に売却する場合の地主に支払する名義変更料などは地域性や地主の考え方によって異なります。売買価格や諸条件は当事者間で決めるものであり、価格については法的に定められた算定基準は現時点ではありません。

借地権と底地の売買価格について

借地を地主に買取って頂く場合の価格は、相続税の路線価格~公示価格の額を参考目安にして、その借地権割合額にすることが考えられます。底地を借地人が買う場合は、同じく相続税の路線価格~公示価格の額を目安にして、その底地権割合額にすることが考えられます。但し、これらの価格については法的な算定基準がないために双方の協議で決めるしかありません。ちなみに、借地を第3者に売却する場合は、所有権価格相場の借地権割合額が目安となりますが、人気のある地域以外では、住宅用地の借地の需要は乏しいために、実際の売買価格は目安価格に及ばないケースが多いものです。

借地非訟の手続きについて

借地権を第3者に売却することを地主が拒んだ場合では、借地非訟手続きという方法があります。売却等をするために裁判所からの許可を得るのです。但し、裁判所は過去からの借地契約の経緯などを勘案して許可の判断を下しますので結果はケースバイケースです。許可の場合は、譲渡承諾料や新たな地代の等についても裁判所が命じることもあります。

  • ※弊社ホームページコンテンツ「借地権の諸問題」「問題解決事例」にも関連することを記されておりますので合わせてご覧ください。

借地権に係る承諾料等の一般相場

  • 借地権譲渡の名義変更料の目安 : 借地権価格の10%前後  
  • 建物の建替え時の承諾料の目安: 所有権価格の3~5%前後
  • 建築物の条件変更承諾料の目安: 所有権価格の10%前後が目安
    (木造からコンクリ―ト造への変更など)
  • ※地主に支払う 上記の諸費用等は、当事者間の協議で決めているのが現状です。この費用には法的に定められた基準はなく、地域性や地主の考え方で異なることが多いものです。あくまでも参考目安額です。

弊社では、借地権・底地の売買仲介(借地人と地主間の売買、第3者への共同一括売却、土地の分割・交換等)を行っております。
借地人と地主の過去からの交流状況によりましても交渉結果は大きく異なるものですが、相手様には分かりやすい言葉で具体的かつ現実的な提案をもとに丁寧に折衝しております。

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東京・練馬 株式会社 昭和住地 代表 森 進

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