親子・親族間、知人間の不動産売買
身近な方との不動産売買、遠慮による契約トラブルを回避
親族間の不動産売買のケースとしては、①土地や建物の必要が無くなり売却を計画したところ、他の親族が買いたいとの申し出があった場合、②何らかの事情で、住宅ローンや会社の借入金などの返済が厳しい場合で、親・兄弟・姉妹が買うというケース ③親族間の共有名義(共有持分)の売買などです。親族間売買では、一般的な売買と違い特に注意すべき点が多々あります。
親族・知人間売買の注意点 建築規制・契約・資金繰りについて
親族間(親子・兄弟姉妹・夫婦)、知人間など、身近な方との不動産売買では、不動産業者が介入しない「直接契約」をすることがあります。 仲介手数料が不要であり大きなメリットでしょうが、反面には、親族間、知人間という安心感からのあいまいな契約内容・認識不足などによる思いがけないトラブルが起きていることも事実です。
一般的な不動産売買では、土地・建物・道路・隣接地・近隣環境などを見て、現況を判断することから始まります。そして、法令・条例、権利関係、水道・下水・ガスなどの整備状況の把握、契約内容の取り決め、契約の締結、代金決済と引渡しで売買取引(契約)は完了となります。ところが、親子・兄弟姉妹・夫婦、知人間などの売買では重要なことを把握・理解しないままで取引きをすることが多くあります。
一例ですが、過去に建築確認が受理されている土地でも、道路などの現況が現在の建築法規に合致してなければ、建築の制限を受けることになります。また、法令・条例の改正などにより、既存の建物面積より小さいものしか建てられない場合や、逆に大きな面積の建築が可能になっている場合もあります。土地の価値は、さまざまな要因により大きく異なりますので売買時には要注意です。
さて、売買契約書とは、お互いが約束を守るための取り決め書ですから一般的な不動産売買などでは、取り決め事項を守れない場合、相手方に対して金銭の負担を負い清算します(契約手付金の放棄、手付金の倍返し、違約賠償金など)。身近な方との契約でも、違約した場合の取り決め事項が必要な場合もあるでしょう(勿論、ケースバイケースですが)。契約の残金決済と同時におこなうべき売買不動産の所有権移転登記、完全なる明渡し(引渡し)などは重要な取り決め事項です。
また、買主が住宅ローンを組む場合は、融資が受けられなくて契約が履行できないケースも多々あります。売主はこのようなことも想定しておりませんと売却計画に大きな狂いが生じ、トラブルの原因になりかねません。売主が売却金の入金を予定して、他の不動産を買っている場合などでは取引きに大きな支障をきたすことになるでしょう。
親子・兄弟姉妹・夫婦間などの不動産売買においても、特別な場合を除いては取引の基本を守ることが大切です。弊社ホームページコンテンツ「売買契約の注意点」にも関連することが記述してあります。ご参考にしてください。
親子・親族間売買の住宅ローン融資について
一般金融機関からの借入
親族間の住宅ローン融資には消極的です。とくに、親子(夫婦)間売買には厳しく、審査にも取り上げないケースが大半でもあります。
金融機関が住宅ローン融資に消極的な理由とは
- 親から子へ不動産の所有権移転をする場合では、贈与もしくは相続によることが一般的であり、課税されたとしても、親から買受ける売買総額に比べれば小額である。なぜ、多額な借入金と諸経費をかけて親の不動産を買わねばならないのか。
- 親の資金繰りのために子に売却をするのではないか。単なる子からの名義借りではないか。
- 親子間売買では売買価格が不透明。また、融資金が何に利用されるかも不透明。
- 保証会社の承認が得られない(保証会社とは、住宅ローンなどの返済金が延滞・滞納した場合、借主に代わって融資元に返済する会社のこと)。
以上などが理由です。但し、金融機関・保証会社が健全な融資だと判断できる理由があれば可能性がないとはいえません。また、金融機関との取引に実績があるような場合ではプロパー融資(保証会社を通さない融資)をする可能性もあり得ます。特別なケースの融資です。
ファイナンス系会社からの借入
「ファイナンス会社」「モーゲージ会社」のごく一部に、親子・親族間売買の融資を取扱う場合があります。しかし、審査は緩いものではありません。親族間売買をする事情、融資後の金銭の流れ、借入申込人の属性(勤務先・年収など)、自己資金などを総合的に審査の上、売買物件の担保力に余裕がある場合の数少ない融資なのです。借入金利は一般金融機関と比較しますと固定金利で概ね2~3倍位が大まかな目安であり、その他の諸費用も高く設定されております。
- ※親が住宅ローンなどの滞納で競売が迫っているとき、子がローンを組んで親の家を買い、親を助けたいというような場合、融資が実行されるものであれば価値のある借入となるでしょう。弊社でもローン付を行っておりますのでご相談下さい。
税金のこと 注意すべきワンポイント
親子・親族間売買では税務上において注意すべきことがあります。
低額譲渡、高額譲渡
親族間売買において、著しく安く売買、もしくは高く売買したと税務署が判断した場合、「低額譲渡」もしくは「高額譲渡」として贈与税が課せられることがあります。
譲渡所得
居住用不動産の売却益「3,000万円の特別控除」は適用されません。売却をして譲渡益がでる場合は課税対象となります。
その他、控除・特例などが不適用になる場合がありますので注意が必要です。
弊社の親子・親族間、知人間の売買サポート業務とは
弊社の「親族間・知人間の売買サポート業務」は、ご依頼者様のご希望事項を単に書面化(契約書の作成など)し、契約、決済(引渡し)などの立会いをするだけではありません。安全で円滑な取引に向けての相談・助言、および残金決済までのフォローを含めた総体的なサポート業務です。
売買サポート業務の主な内容
- 契約内容に関しての相談・助言・提案など。
- 不動産調査報告書、もしくは不動産重要事項説明書(宅地建物取引業法に基く書面)などの作成と解説。どちらも、不動産の売却や購入時には知っておくべき大切なことが記載されております。
- ※「不動産調査報告書」に関しましては、弊社ホームページコンテンツ「不動産調査」をご覧ください。
- ※「重要事項説明書」とは「宅地建物取引業法第35条」に基づく書面です。不動産業者が仲介者として契約に介入する場合(売主の場合も含む)は、契約の前に宅地建物取引主任者(国家資格者)による、買主に対しての重要事項説明が義務付けられております。買主の承認、署名、押印完了後でなければ契約業務はできません。これは不動産取引の安全を図るために、国土交通省が定めているものです。
- 契約書、覚書などの作成と解説。売主・買主間で取り決めした内容を記載した書面となります。
- 不動産調査報告書、もしくは重要事項説明書と売買契約等の読み合わせ、署名・調印の立会い、住宅ローンの申込みなど。
- 登記手続き(担保権抹消・所有権移転など)に向けての金融機関や司法書士との連絡・調整・手配など。
- 売買契約の決済(金銭の授受・領収証の作成、公租公課の清算等)と不動産引渡しの立会いなど。
業務報酬
- 業務内容、業務地域などにより報酬額は異なります。詳細はお見積もりをさせていただきます。
- ご相談は無料です。
東京・練馬 株式会社 昭和住地 代表 森 進