共有地を分割(分筆)して売却するときの注意点

相続で取得した土地や土地付建物を分割(分筆)して売却する場合は、いろいろの作業や手続きが必要になるものです。土地が幅員4m以上の公道に接していて、土地と道路の境界が明確であれば問題は少ないのですが、戦前・戦後頃からの住宅区域や、古くに分割した土地や建売現場、借地だった敷地を分筆して所有権にした土地、私道幅員が狭い土地、敷地に接する私道が他人名義(特に単独所有の私道)になっている土地の場合などでは いろいろの問題を抱えているケースが多いものです。

例えば、親族間の共有地を分け合って、分筆後に、その1区画を売却する場合では、下記のような作業や手続き、他に諸問題の解決が必要になる場合があります。

  • 建物がある場合では、建物・外構等の解体工事。
  • 土地の分割計画では、共有者間で分け合い取得する位置や面積などの取決めなど。角地と一面道路に接する土地や、土地の面積、地形・方位、接する道路の幅員等によっては土地の利用価値、価格が違うので、どこを取得し合うのかの協議・調整が必要です。
  • 土地を分割・分筆する場合では。最初に土地全体の測量が必要です。隣接の土地所有者全員との境界確認(境界標など)を行い、確認の署名・押印の上で確定測量図を作成します。土地の売買では必須の測量図ですが、隣接者からの境界の合意が得られませんと確定測量図の作成はできません。土地家屋調査士の仕事ですが、土地所有者の努力も必要です。
  • 境界線を越境している家屋の一部や境界塀、樹木などがあれば、隣接者と協議をして是正することや、将来に是正することなどの双方合意書を作成します。境界標が確認できない場合などでは新たに境界標を設置します。境界越境の詳細図面の作成もいたします。
  • 共有者間で合意した分割地の位置・地形・面積で、土地の分筆登記をして各々の単独所有権の登記をします。司法書士の仕事です。税務に注意を要します。
  • 私道が建築基準法に該当する道路でも、幅員4m以下の場合では、道路の中心線から2m後退した敷地と道路境を確定し、その土地図面を作成します。これで、建築時の敷地有効面積が確定するのです。土地売買時には必要な確定測量図面であり、管轄の役所も関与します。
  • 他人が所有する私道に面した敷地の場合で、共有地を分割して、その内の1宅地に新たに水道・下水・ガスを引き込む場合では、私道の所有権利者、もしくは管理者の同意等が必要であり、同意が得られない時は私道の掘削工事ができない場合があります。それまでは私道についてトラブルが無くても、売却をして新しい所有者に代わると問題が起きることがあるのです。建築基準法に該当する道路に敷地が2m以上接している場合では、家屋の建築が基本的に可能ですが、建築基準法と私道の所有権などは別のものであり要注意なのです。

以上、共有する土地を分割し一部を売却する時のことを簡潔に記しましたが、土地家屋調査士や司法書士は、自分の専門分野の範囲で業務を行うものであり、専門外については関与しません。諸々の業務では関連し合う(絡み合う)事も多く、その調整・段取り、雑務も多いものです。段取りが悪ければ、無駄な期間や費用も発生するものです。 

以上の事について一般的な方は、「誰に」「何を」「どこまで」依頼すれば良いものか分からないものです。できる事ならば、全体を把握して、士業様への依頼、諸雑務、不動産の売却までについて、総体的に取組めるコーディネーター(監督・調整役)的な中心者がいると円滑に進むものです。

悩むより解決に向けてお気軽にお問合わせください。