借地権と底地の一部交換|並行して兄弟間の共有トラブルも解決!

この案件は借地権(60坪)付建物であり、長男のA様と2男のB様には各々50%の相続権があるものでした。老朽化した建物は被相続人名義で登記されたままであり、取りあえず共有名義で相続登記を完了しました。この60坪の借地権を、地主の底地(所有権)と交換する手法で、各30坪の土地に2分筆して、貸借関係のない土地として借地人と地主で各々所有し合うことにしたのです。この借地権関係を解消した後に兄弟間の共有トラブルの解決に進めた事例です。

被相続人と同居していたA様ご家族が継続居住をしており、共有持分権を持っていても次男のB様には何のメリットが無いために自己の共有持分をA様に買って欲しいと長年に渡り折衝していましたがA様が避けていたのです。

この頃のA様とB様の兄弟仲は険悪であり、裁判所の調停では解決しなかった問題だったのです。B様は本裁判に進める考えがあったのですが、このような時期に2男のB様より相談をお受けした案件でした。

この案件に取組むためには地主の協力が最優先であり、さっそく打診を始めたのですが、地主は「土地を売ることも、借地権を買い戻すことも考えていない」と主張し、なかなか前向きな話になりませんでした。再三の訪問とお手紙をお送りしながら具体的な提案を続けたところ、少しづつ商談に進むようになったのです。

提案内容は、「A、B様の借地権60坪を地主様に返還し、その替わりに地主様は各30坪の土地に2分筆して、30坪をA様、B様に譲り渡し、残りの30坪を貸借関係のない土地として地主が所有する」という内容でした。これは交換手法であり、かなりの期間を要しましたが、結果としては、A様には仮住居に引越しをしていただき、建物を解体して更地にして、その後、地主の協力のもとで土地を2分筆登記をして、A、B様と地主様とが貸借関係のない30坪の土地を所有し合うことですべて完了したのです。地主様としましても、地代も安く、土地の有効利用ができなかった土地が価値のある30坪の完全所有権の土地になったので有益だったと思います。

A、B様のご兄弟は、借地関係のない30坪の土地の共有者になったため、共有トラブルの問題解決に進めることにしました。長男のA様にとりましては、居住場所の心配と金銭的な負担、B様は現金の要求です。間に入り、双方の過去からの経緯、経済状態、主張などを良くお聞きし、双方が納得できる方法を考えました。

A様は長年の間、居住してきたものであり土地に愛着があるとのことであり、私は、30坪の土地を単独所有して新築住宅を建てる計画をお勧めしました。結果としては、A様は住宅ローンの借入金と自己資金でB様の共有持分の50%の権利を買取りし 新築住宅を建築し無事に完成したものです。A様は住宅ローンの借入金ができましたが、30坪の完全所有権の土地と新築住宅を取得し、B様は共有持分の売却金を得て共有問題は解決したのです。一時は兄弟の仲も険悪でしたが、その後は仲良く交流をしております。

地主も、底地という有効利用ができない土地を売却し老後資金にすることができました。すべての関係者が合意の上で円満解決をしたものです。

【一言アドバイス】
この案件は、借地権と兄弟間の共有トラブルが絡んでいました。地主様の中には、借地権の買い戻しだけを考えて、第3者への借地・底地の売却や、交換については一切承諾しないケースも多々あります。こればっかりは地主の考え方であり手が付けられません。但し、10年前は聞く耳を持たなかった地主が、家族構成や経済的などの変化で協力的になるケースもあるのです。地主様としましても、地代も安く、土地の有効利用ができなかった土地が価値のある30坪の完全所有権の土地になり、土地利用や売却も自由にできるようになったのですから良い結果になったと思います。

相続で取得した共有不動産で多いトラブルは、長男が居住している場合や、親族の誰かが建物を利用しているため売却などができないケースです。共有不動産の分割や売却等は当事者の協議が基本ですが、それができない場合では、共有問題解決に経験豊富な不動産業者などに頼むことで解決するケースも多々あります。それでも話が進まない場合は、共有不動産の分割訴訟という裁判があり、その調停段階で和解に進むことも多々あるものです。和解ができない場合は本裁判に進めるしかありません。

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