私道のトラブル|水道管・ガス管工事等の道路掘削、通行承諾書について

私道にかかわるトラブルがとても多いです。水道・下水道・ガス管などの「私道掘削承諾書」や「私道通行承諾書」などのことです。この承諾書がないと不動産売買時や建物の建て替え時にトラブルになることがあります。私道トラブルの解決は、他の私道所有者との折衝が必要になり、協力が得られない場合は大きな問題になることがありますので要注意です。

〔私道掘削承諾書〕
私道のトラブルで多いのは、既存の水道・下水道管・ガス管の交換や新設工事をするときに、他の私道所有者から「私道掘削承諾書」や「通行承諾書」をもらえないケースです。宅地(敷地)が建築基準法の道路位置指定や、法42条2項道路の私道に接して舗装された道路でも、新築に建替えをする場合では、私道から引込みしている給水管、下水管、ガス管などを新しく取替える場合があります。

水道についての一例ですが、住宅用の古い水道取出し管は太さ13ミリ管が多く、これを最低20ミリ管に取替えないと水道の水圧が弱く、風呂釜などの着火(点火)に支障を起こすことがあるのです。水道引き込み管の交換、もしくは新設をする場合では私道を掘削する必要があり、他の私道の所有者から「私道掘削承諾書など」をもらう必要があります。水道局では、この掘削承諾書等がなければ基本的に工事許可を出しません。  

また、私道に敷設された給水本管が細い場合で、その本管から新たに宅地内に水道管を引き込む場合では、近隣の水道の圧力が弱くなることもあり、反対されることもあります。その場合、公道から単独で専用給水管を引き込む必要が生じ、多額の費用がかかることもあるので注意が必要です。特にアパート建築の場合では要注意であり、建て替えや、土地の売却時では前もって調べておくことが重要です。土地の売買では、売主は他の私道所有者から「私道掘削承諾書」をもらい買主に引き渡すことが無難です(掘削承諾書の詳細は省略します)。

〔私道通行承諾書〕
土地を売買するとき、他人が所有している私道の通行については、「通行承諾書(車両等も含む)」も必要です。今までは何のトラブルがなかったのに、建て替え時や土地を第3者に売却する時点でトラブルが起きるケースが多々あるのです。売主は他の私道所有者から「通行承諾書」をもらい買主に引き渡すことが無難です(私道通行承諾書の詳細は省略します)。

昔からの地主が私道のすべてを所有している場合では、人の通行は認めるが、車両の出入りは認めないなどと主張するケースも現実にあるのです。私道の入り口に、にポールや杭が設置されている場合は特に注意です。

※不動産の売買契約では、「残金決済までに、上記のような各種承諾書を買主に引き渡すことができない場合は契約を解除できる」という条文を入れておきませんと、万一 引渡せない場合では、大きなトラブル(損害賠償等)になることが考えられますので要注意です。

私道の所有形態には下記のようなものがあります

  1. 私道を細かく分筆して、各々が単独で所有している私道があります。古くに造成された私道に多く、敷地に接して自己が所有する私道部分がある場合や、離れたところに自分の私道がある場合もあります。また、自己の敷地に面して、第3者の単独所有の私道がある場合もあります。
  2. 共有私道とは、複数名の私道所有者が、00分の00というような持分割合で所有し合って形成された私道のことです。近年の私道ではこのケースが多いです。
  3. 私道のすべてが元の地主所有なっているケースもあります。私道の所有権がない場合では、土地を売却する場合では大きな欠点になり、地主から私道の所有権の一部を売ってもらうか、もしくは通行承諾書を取得する必要が生じる場合もあります。
  4. 過去に分譲した不動産会社が私道の所有者になっているケースもあります。古い分譲地で見かけるものです。

※上記などの私道で、各種承諾書を貰うのに承諾料を請求される場合もあります。費用は様々ですので要注意です。

【一言アドバイス】
公道は、役所(役場)が維持・管理しますが、私道は所有権利者が基本的に管理し合うものです。
過去の弊社の業務で、戦前からの私道に接した宅地の売買では、20件の私道権利者から「私道掘削承諾書、通行承諾書」もらったことがありました。権利者は、既に亡くなっていたり、相続で共有名義になっていたり、遠方にいらっしゃる方もいて大変に手間取ったこともありました。

私道に接した土地を買う時や売るときは、精緻な調査が重要です。特に古くに宅地造成した私道はトラブルが多いので注意が必要です。キチンとした不動産会社の業務経験の豊富な担当者であれば良いのですが、そうでないケースが多くありトラブルになっているのです。

各種承諾書がもらえない場合では、裁判所への調停申し立て、訴訟を提起することができますが、近隣問題であり、話し合いで穏便に解決をしたいものです。また、納得できる金額であれば承諾料として支払い、早く解決する方法も選択肢と思います。

悩むより解決に向けてお気軽にお問合わせください。